高齢者や病人に寄り添う愛らしいワンちゃんロボット「MiRo」の開発プロジェクトが進んでいる。
次世代コンパニオンロボット
このプロジェクトは、プロダクトデザイン、バイオミメティクス(生物模倣)、ロボット工学を3本柱として進められる次世代の動物型コンパニオンロボット研究だ。
世界的インテリアショップTHE CONRAN SHOP(ザ・コンランショップ)のテレンス・コンランを父に持つセバスチャン・コンラン、4人のノーベル賞受賞者を輩出した英国シェフィールド大学のトニー・プレスコット博士とベン・ミッチンソン博士が、新興企業Consequential Roboticsを立ち上げて開発を行なっている。
動物の優れた性質こそロボットに求めるべき機能
同社のホームページによれば、動物は、ロボットよりも多くの面で機敏であるだけでなく、丈夫で適応力に富み、感情を伝える能力にも長けている。
このような動物の優れた性質こそ、ロボットに求めるべき機能と考えた。したがって、スマートロボットを一から開発するのではなく、動物のように思考して動作するロボットを構築するアプローチを模索した。動物の感覚と意思決定プロセスから四肢や行動に至るまで、 特にロボット−人間、ロボット−ロボットのインタラクティブな関係に適合できるロボットの開発を目標とした。
コンパニオンアニマルやペットと同様に、ロボットは愛らしい見た目で快適な話し相手となり、社会的な交流を維持する可能性を持つ。
ペットのように世話やサポートを必要とせずに、監視などロボットならではの多くの機能を活用できる。
カスタマイズ可能な柔軟なプラットフォーム
MiRoは、開発者が次世代の個人向けコンパニオンロボットを創造できるように、カスタマイズ可能なプラットフォームとして設計され、ユーザーと持続的な価値ある関係性を築く、単なるおもちゃを超えた存在を提供できる。
また、人型よりも動物型ロボットのほうが、現在の人工知能技術にマッチした多くの機能の実装に適しているそうだ。
光学ナビゲーション技術、周辺を検知するスマートセンサー、顔認識技術などの最新技術が愛らしいルックスに集約され、メカメカしいロボットよりも親しみやすいデザイン。
コンラン氏は米国のメディアDigital Trendsに語っている。
適切なプログラミングを行うことで、MiRoは高齢者と情緒的に関わることができるはずです。 ただし人の孤独を和らげ介護するのは人間の役目で、コンパニオンロボットは親交と娯楽を提供すべき。あくまでも人の手によるケアの補助的な存在であり、人に取って代わるものではありません
すでに開発者向けにプロトタイプ(2,200ポンド、約30万円)が入手可能、2018年から一般向け販売がスタートする予定だ。高齢化が進む多くの国々での活用が期待される。